星野 生駒 背中
!」 生駒に襲い掛かった。「や、やめっ」「あぅっ! あぁっ! あぁっ! えぁっ!」 何度も何度も星野は小刀を振り下ろす。 刃が生駒の腕を貫き、頬を削り、肩口に突き刺さる。 皮膚は振り下ろされるたびに、彫刻刀で削っているかのようにめくれ上がり、赤い肉が破片となって散らばった。 学校で使い古されていて、刃物としてギリギリの切れ味しか持っていない事もあって、切りつけるというよりは抉るという方が正しいかもしれない。 生駒が体を丸めて身を守ろうとしても、星野はその上から幾度も刃の雨を降らせて肉をそぎ落としていった。 そして何十回か振るったところで、小刀の方が悲鳴を上げ、半ばあたりでへし折れる。「あ゛あ゛あ゛あ゛~~……もう、もうやべへっ……お願いしますふっ。お願い……」 致命傷には至らないが全身余すところなく傷をつけられ、正気を保つのが難しいのではないかと思うほど苦痛を刻みつけられ、生駒は命乞いを始める。 一旦手を止め、息を整えていた星野は、なにか使える物がないかと辺りを見回し――。「ほーしのちゃん」 彩乃が、声をかけた。 その手に刃渡り30センチは越えようかという鋭そうなサバイバルナイフを持ち、これ欲しい? とでも言うようにひらひらさせている。「なんだよ、それぇ……」 生駒が、呻く。 死の前に更なる痛みが待っている事を知り、彼の中には絶望しかなかった。「あはっ」 星野は彩乃の持つナイフを見て――破顔した。 それこそが自分が欲しかったものだと星野は手を伸ばし、彩乃からナイフを受け取ると、「あははっ」 また、哂った。「あはははっ、あはははははっ」 そして先ほどと同じ様に、星野はナイフを振り下ろす。 鈍い音が響き渡り、教員室は狂乱の悲鳴と狂喜の笑いで真っ赤に染まる。「あーーーっ!! いつも準備が遅い星野を置いて六人で歩き始めた。「ねーえー」1人自転車を飛ばしながら追いかけてきた星野が少し膨れながら生駒を小突く。今日は、生駒の告白作戦会議が少し長引いてしまった。今週末、生駒は先輩に告白する。 一部のAndroid端末ではカクヨムに登録すると作者に思いを届けられます。ぜひ応援してください。アカウントをお持ちの方はカクヨムに登録して、気になる小説の更新を逃さずチェック!アカウントをお持ちの方はカクヨムに登録して、お気に入り作者の活動を追いかけよう!アカウントをお持ちの方は 星野源も小栗旬も…壮絶なイジメ体験を持つ芸能人「彫刻刀で背中を刺され」「精神安定剤を服用」 木下優樹菜引退発表直後に流れた2つの「ヤバすぎる疑惑」 前代未聞の事態『バイキング』もう終わらせてくれ!スタッフ逃亡 人気お笑いトリオ・ジャングルポケットの斉藤慎二の壮絶なイジメ体験が話題だ。小学校時代にクラスで一番背が低いという単純な理由から、彫刻刀で背中を刺されるなどハードなイジメが中学卒業まで続き、自殺まで考えたという。イジメ体験を公言する芸能人は少なくないが、ここまでヘヴィーなケースは稀だろう。ミュージシャン、俳優として活躍し、草食系ルックスに夢中になる女子たちが続出している星野源は激しいイジメを受けていた。また元乃木坂46の生駒里奈、俳優の小栗旬もイジメを受けていたとリアルライブは報じた。編集者:いまトピ編集部 第31話 復讐という救いの道「あっ――が……」 多治比の放った弾丸は、右肺に穴を開けて背中から抜けていく。 かなりのダメージを与えたことは確かだが、まだ致命傷には至っていない。 しかし、生駒の気力を根こそぎ奪い去るには十分だった。 血が沢山流れ出たわけでもないのに顔を真っ青にした生駒は、小刀をその場に落とすと、空になったばかりの両手で胸の傷口を押さえる。 彼が小さく咳をするたびに口から血の飛沫が飛び、床に赤いまだら模様を描いていく。「生駒――」 トドメを刺すためか、多治比が銃を構えてしっかりと狙いを付ける。 後は引き金を引けば、また一つ命が消えてしまうはずだったのに――。 すっと横合いから腕が伸びて来て、銃口を逸らしてしまった。 それをしたのは、布切れ一枚身に付けず、分かりたくもない粘液で汚れた裸身を晒している星野。 彼女はそのまま腕を横に押しやると、自らの体で多治比から生駒を庇う。「星野、どうするつもりだ」 多治比は顔ごと背けて星野の裸がなるべく視界に入らないように気を遣いながら尋ねたのだが……。 星野はそれに一切答えず、口元だけを歪める奇妙な笑顔を見せた後で生駒の方へと向き直った。「あ……ほ、星野。そ、そうだよな。俺たち愛し合った仲だもんな。助けてくれたんだよな?」 世迷言を呟く生駒には一切反応せず、星野は床に落ちていた小刀を拾うと、そのまま逆手に持ち――。「あああぁぁぁぁぁっ! そんな生駒ちゃんをなだめるかのように、隣にいた星野みなみが生駒ちゃんの背中をポンポンと叩く。このときみなみちゃんは13歳。生駒ちゃんは16歳。 生駒里奈、井上小百合、斉藤優里、桜井玲香、西野七瀬、星野みなみ、若月佑美、堀未央奈 生駒 桜井 西野 若月 無口なライオン 何を思ってるの? 遠く見つめながら… 井上 優里 星野 堀 孤独隠して 強くなきゃいけない 悲しい背中 西野 若月 泣きたい時は泣けばいい 生駒 桜 生駒生田、生駒星野の組合わせが目立つだけだと思う 星野自体がそもそも他人との絡みが少ない 9 君の名は (茸) 2017/12/17(日) 18:46:56.11 !」 幾度となく振るわれるナイフが生駒の耳を切り落とし、目を抉り出して眼窩を叩き折る。 鼻は三つに分かたれ、唇はその意味を失って、生駒が悲鳴を上げる度にブルブルと震える。 腕の骨は削られて中頃辺りで折れ曲がり、筋肉だけでぶら下がっていたが、その次の一撃で床に落ちてしまう。 星野たちに加えられた暴力は、それ以上の暴虐となって生駒に返っていった。「あはははははははははははっ。ねぇ、ゆーちゃん、見てる? 見てる? うん、そうだよ。今やってるからっ。あはははははっ、まだだよぉ。杉山くんはこの次だから待っててね。きちんと苦しめてから殺すから。うんうん、ゆーちゃんが言う通りに切ってあげるから。約束するってばぁ」 星野は、笑いながら会話を続ける。 恐らくは、彼女の頭の中に存在する筧が相手なのだろう。 それを見ている僕と多治比は、圧倒されて何も言えない。 手を出すことも出来なかった。「えー? 切り落として河野さんに? 嫌がるって……うん、分かった。きちんと食べさせてあげるね。あはっ。そうだね、私たちもしたんだから河野さんもしないとズルいもんね」 筧はもう死んでいる。 校長室で犯された挙句殺されてしまった。 恐らく星野もそれは分かっているだろう。 だから彩乃の復讐しろという言葉に反応して、生駒を……殺した。 でも、星野は自分を取り戻しはしたが、認めたくない事が多すぎて壊れてしまったようにも見える。 多分彼女は……正気じゃない。「ほら、生駒くん何してるの?」 生駒はめった刺しにされた事で、既にこと切れてしまっている。 しかし星野はそれでも生きているかの如く扱い、床に押し倒す。「まだ終わってないんだからさぁ。ふふふっ」 軽く挨拶代わりに2、3度ナイフで腹部を抉ってから、――「あっ、とりあえず切っちゃったけど河野さんを見つけるまでどうしよう。ふふっ、持ち歩くのは嫌だなぁ」「……ならさ。ここに連れてくればいいんじゃない?」 彩乃の提案を、星野は小首をかしげて少し考えた後、「あはっ。そうですね、そうします」 笑顔で受けいれた。「じゃあ生駒くん、河野さんを連れて来るまでちょっと待っててね。河野さんと一緒に殺してあげるから」 そう言うと、星野は楽しそうに笑い声を漏らしながら教員室を出て行こうとしてしまう。 そこでようやく僕の金縛りは解けた。「待って、星野さん!」「……なぁに、蒼樹くん。ふふふっ」 振り向いた星野の口からは、絶えず狂った笑い声が漏れ続けている。 彼女にまともな判断など出来るかどうか怪しかったが、それでも引き留めるための方便が無いかを探す。「……服、着た方がいいんじゃないかな」 星野は男子たちに犯された際、着ているものを全て剥ぎ取られてしまったのだろう。 視界に入れることも困る豊満な肢体を、恥ずかし気も無く晒してしまっていた。 だが、星野はそんな自分の体を見下ろして、不思議そうな顔をすると、「あはっ、変なの。体操服、着てるよ」 なんて言ってくる。 星野の中では体操服を着ていることになっているのだろう。 もしかしたら、犯される前と後の記憶が混濁しているのかもしれなかった。「……血で汚れちゃってるから事務室で待っててよ。着替え持ってくるから」「あはは、どうしよっか、ゆーちゃん」 星野は虚空に向かって話しかけ、ふんふんと頷いている。 頭の中の筧と仲良く会話をしているのだろう。 こうなる前のように。「うふふっ、ありがとう蒼樹くん。あははっ。確かにちょっと汚れちゃってるから気持ち悪いかも」 ちょっと、どころではない。 さきほど生駒を惨殺した時の返り血で、星野の全身は真っ赤に染まっていた。「でも大丈夫だよぉ。あはははっ、早くみんなを殺してあげたいうふふっ、からっ」 時折混じる笑い声がひどく耳障りだったが、それでも彼女が止まれなくなってしまったことだけは分かった。「じゃあね~」 星野はそれだけ言い残すと、ひらひらとナイフを持った手を僕に振り、教員室を出て行ってしまった。「……蒼樹」 僕の肩に多治比の冷たい手が置かれる。「星野は復讐のために生きている。復讐しようと思っているから心がもっているんだ。それを止めれば星野は死ぬ」 そんなことは分かっている。 だから自分が死なないために、星野は生駒が死んだことを理解できなくなっているのだろう。 終わらない復讐の中で、ずっと生きるために。「…………」 薄っぺらい正義感で復讐は良くないなんてしたり顔で否定するのはとても簡単な事だ。 少し前の多治比や僕なら無神経にそんな事を言っていたかもしれない。 でも、心が死んでしまった星野を見た後では……言えなかった。 虚ろな瞳で死んだように虚空を見つめ続ける彼女と、話もできるし生きようとしている彼女は、比べることなど出来るわけがない。「俺は星野を手伝ってくるよ」 鬼だしな、と言い残し、多治比の手が離れていく。 それを、僕はただ無言で見ていることしかできなかった。ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)応援したユーザーはいません機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。